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の丈に合わない店に入る。躊躇なく扉を押し開けたところへ、兄が胡乱げな目を寄越す。金の宛はあるのかという事らしかった。が、気付かないふりを決め込むと彼はすんなりと従う。人の金で美味いものが食えるならわざわざ気難しい猫を逆なでする必要もないのだ。

愛想笑いを浮かべた店員が、カウンターに並んだ華奢な椅子を示す。腰掛けると文字通り地に足の届かないそれは、なんとも言えぬ居心地の悪さを与えた。

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