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やわき春暁の円環をいただく
倦怠渦まく午前四時
ジュークボックスを泳ぐいさな
アンコールは望まない
36度2分の純情
飛び散る鮮紅色に片目を閉じよ
青と白のベクトル
白紙のレクイエム
出さない手紙
黒鍵に散るは梔子の花
蛍火を包み込んで
人類史と誰がためのサルベイション
美わしのユータナジー
無神論者は軽忽な夢を見る
縹渺たる独善的レクイエム
臨界点に臨むベランゾール
鳴らぬ電話はただの石
桃色は憂鬱に溺れて
拝啓 世界一馬鹿なあなたへ
遠くまぼろしは透けて
レゾンデートル、応答せよ
硝子越しの恋
終わらぬ復讐
酩酊を殺す毒
生命散らせよ
モラトリアムに心酔する
秒針は薄氷を刻めるか
Mr.サラマンダー、お迎えはまだですか
プルーストの栞
沈黙する深海魚
絡まり散らばる感傷を湛えてまばたく
運命の輪のなかで眠たげな
青褪めたシーツの中でしか生きられない
遣る瀬なくとめどなく何処にもいない
欠けてゆくからだに残された未知
目を瞑ると亡霊の足音が聴こえるはず
いつしか燃えるような双瞳を手放す
これは遠い日の面影を忘れた罰
交わらない累月のもとで擦り減っていく
ぬるい雨で心ごと冷めていくような
吐き気がするほど美しい夜だった
ぼんやりした刹那を均す手つき
お終いにするにはちょうどいい時間
おおよそすべての離別をなぞ解き
なにもかを燃える星の火で失ってしまう
心臓に憂いを帯びていて
泥にまみれてやさしいふり
ここはまだ最果ての匂いを知らない街
月あかりを記したメダイユ
少なくとも再生の火はまだ満ちない
ふたりぶんの淋しさで夜をくるむ
寄せては返す泡沫の果て
灰のなかから羽化する祈り
冷たく凍るゆうれいの息吹
縫合した夜と朝のあわい
この冬は眠ったままでもいいよ
夜の深いところは何色だろうか
手のひらでつつむ周波数
己の名前も知らぬまま生まれてしまった
やわらかく剥がれ落ちたしあわせ
ひなた雨を飲み干す背徳
一片ずつはがれ落ちる花曇
ありふれた机上論に傷をつける
歯型にまみれたちいさなビオトープ
混ぜこぜに烟るしあわせの変異体
細胞を満たす海はまだ温い
無傷のまま発火する鉱石は夢うつつ
傷ひとつ濁らせるねむたげな夜更かし
泥まみれで戯れ紡いでねぶそく
凍りついたまま失くしたそんな致死
うつくしく奪われた涯てに焼き付いたまま
ねむりのあとの雲間でうちゅうの解をもとめる
絶え間なく滲みきったら醒めるような雨後
彼方から胸底に火をつける
ゆうれいに息吹を吹き込まれた最初の日
こんなふうに欠けていく季節を燻らせて
なにものかになれず満ち足りたかった
いにしえより流謫のたましいを匿う火竜の巣よ
忘却の涯てに倫を殺めて病めるとき
心臓に刺さった棘を摘み取れずにいる
ささくれた花の色とならずの獣
まぶしい犀利をなでるような手触り
とけかけた導火線のかんばせ
神様の指先は凍えたまま
透明で煮崩れそうなピリオド
綴じ紐がおもたげなおわかれの日
ぐずぐずに崩れゆく創世
水槽の中でぼんやりとひかっているもの
どこにでもある爪あとと不感症
ひと匙の白昼夢に触ってあげようか
紛れもないあらすじの壊死
ふやけて息もできない体温
逃避夜行には巡らない夜
溺れる月とインプリンティング
土足でほころぶ夜は色褪せてままならない
うつくしくもはしたない嘘つき
傷みやすい色水でゆびさきを染めた
どうしようもなく摩耗した雨と傷
ふたりのあいだに横たわる追憶
窒息しそうな形の石と微熱
静謐を忘れてもなお青し
夜明け前だけが虹彩の色を知っている
揺らめく叙情と花を踏むひと
まぶたの上の憧憬
繰り返す夜々のこと
背中あわせの感傷を花の名になぞらえる
三千世界でも謳わぬ鴉よ不退転に告ぐ
裸足のうらで春を踏む
灰のなかのあやふやな暗号ひとつ
ひとつまみの砂漠でひそひそする
花鎖をたどり奈落に降ってゆく
その褪めた肌に刻まれた刹那を愛す
頭上にうずまく刻限の味気なさよ
花実も宿さず枯れていく
不可視の傷痕とくちづけ
ひび割れたまま名を呼ぶ
ふたつめの地獄で待っている
燃やす双眸
不変/誰もいない終着駅
普遍/欄干の冷めた歩道橋
褪色、やさしさの欠けたピース
鮮色、潮が満ちゆく月の通り道
苛烈をとかす瞳のゆらぎ
にせものの花に埋もれて吐息は白く
黎明、あやなす槐夢をのぞむ
混ざりあう嘯笛と星の生き死に
夜明けのタフタと六ペンスの星
やわらかな棘、ほつれる秘密
未だ咲かない白とかわいた眼
うつろな呼び声で引っ掻いてくれ
羽化すればいずれ灰になる運命
終幕はひび割れた春告にて
涸れない呪いあるいは青の手のひら
ならずの森でけだものの牙をとぐ
青き泥濘で言葉だましを苛んだ
わだかまる言の葉に茨を飾る
砂上の肋骨
この世のすべてのさよならだけを集めた銀幕
花隠しの骸に口づけうつろを呑む
世界で一番美しかった八月
いびつな残り火とおぼるる福音
若きほのおを燃やす幕間
かじかむ裸足で星のかけらを転がした
あなたの一番うつくしい秘密をおしえて
ほどけない靴紐をたずさえたまま
なまぬるいナイフの切先をつつむ秘色
不定のかたちを翳すささやき
抒情詩にもなれない世紀
色相環のうちがわから考える
あどけない花の嵐のうらがわで指切りする
いくつもの電子の海でひたむきな噓だけを拾う
はじけるままに満ちないエピローグ
満月の夜に呼びあう鯨のしらべ
とおく最涯てで待っている
触れたら淡くさざめく横顔
あなたの奈落で降りつもる潜性
ねむらぬ寝台列車と夜光虫
つめたいままで青ざめていく名前
銀木犀の結晶をなでるような
夕べにはこの切っ先も崩れていく
殿を羽ばたくエチュード
はじまりの焦土であの日の体温を知る
行き止まりのかなたにて遠雷
白昼夢のくちびるは青めいた
ゆるやかな終幕にくちづけ
未明には眠ったままでいたい
その双眸にそそぐ不死の塵
未だ睥睨する鴉の正体はわからないまま
今宵はたおやかなるポルターガイスト
舌先に焼けつくさよならだけ
神も掌握できない篇章
ひび割れた音だけで創る地獄
白昼に囚われて焦げつく回路
満ち欠けと戯れる告解室
天秤に指を掛ける
薄明かりに純正を縫いとめて
彗星が朽ちていく呪い
柩の完成を夢みる脈拍
凍りのかかとで拍を踏む
嗜虐をささやく鏡の向こう
うつくしさでコーティングされた嫌悪
てのひらで白けたままの顕性
夜のあいだに変容する化け物
底なしにやわらかい暗がり
雨粒にまぜてもくるしい
枯れおちたら遍く冷めていく
右目に閉じこめる藍
引き攣れを隠す下瞼
死に傾ぐ三分間
錆びつく呪いの溶解
かじかむ陶鬱を飼い慣らして
焦げつくサファイアの瞳
分解できないいくつかの音
魂の抗体
星屑にまみれた踵
最果てへほつれていく欠落
すべての透明のための唄
さみしさを食べて肥大していく憎悪
移ろい/虚ろい そして散っていくもの
秘密をすくう環指のつめたさ
あなたに口づける災いがありますように
うららかな浸水
怜悧さを月に忘れる
ざらざらの物語のまま
遠ざかる此岸の匂い
月蝕に憂う潮の満ち欠け
薫る恒星の狭間で
白濁の月を均す
皮下に刻む個体番号
わたしの胸に潜む異形
おぼつかない断絶、くずれていく
星と砂の可塑性をほどく裸の足
ただ眦をなぞるだけでいい
虹彩を思い出せないまなざし
この永遠の行く先を綴る
ねむたげな春を灑ぐ
淡い明滅をゆるす
蜃気楼をかざす
はばたきの理論
あなたのいる地獄は博愛に欠くか
車窓に閉じこめた不夜の街
液化していく神話性
ざらつく悪意の隔壁
甘やかな不詳を飲みこんでいく
この世の地獄にまみれていく
まどろむ春の魔物
ばらばらの劣情は約分できない
獣性を殺してはいけない
まだ途上の半貴石がさんざめく
さりとて得難い思い出でもない
未明の裂け目にわだかまる
一等いびつでありたかった
機能不全のやさしさを未だ抱えたまま
まだ さいわいに会えていないのに
とどめを刺せない、贋物だから
一世紀忘れ去られた凍原
ちょっと窮屈な退化
混じりけのない黒曜のよどみ
こんなに冷たい幕間なら
死神ほど脆い気配はない
凍ったまま褪せていく季節
赤と黒のあわいに宿る腐食
あまねくふぞろいな喪失
ひたむきな悪夢をあげよう
壊れるままに青を宿していく
欠けたままのピースを飼っている
やさしさを取り零す片割れ
蒼茫とした災い
やがて死にゆく粒子の呪い
夕べのまどろみを熾す
虚栄の深度をはかる
不知火から抽出するひかり
うつくしいものだけを真実にしていたい
醒めゆく夢のまたたき
燃え盛る天使を凝視めていた
傷口に活ける槿花
さめざめとやわらかな嘘
まぼろしの剥片
翡翠を溶かした泡となる
決して壊れぬ言の葉
眩しさを忘れた黎明期
交じりあう星色の哲学
いさり火を食べてたゆたう
すべてを間違えてたどる子午線
欠けゆくエメラルドの塑造
白めき燃え滓になっていく
一挙手一投足にゆれる心
彩りを忘れ またたきを食む
不完全しか踊れぬパレード
緩衝液にとけゆく昔日
天国にも地獄にもなれない深淵
やがて失いゆく現世の彩度
死者の悲しみの証明
花冷えの朝にいだく凍土
またたきの隙間に散って精彩を欠く
何万年も失い続ける普遍
暗やみの温度に捧ぐ色あい
無知の軋轢に軋むこころ
繰り返す夜の願いでつくる結晶
星の火から紡ぐ代償
知らぬ間にくすんでいく明日
凍りの残り火
苛烈さを閉じ込めるひかり
しららかな不透明
正しさを失う砂礫にて三時
にせものの標石を落としていく
叶わないねがいだけでできた鎖
きみだけが知る楽園のありか
劣等、さざめき、紫水晶
かじかむ孤独の息づく処
やまない花嵐の渦中
月と花の揺りかご
しるしに惑う星鏡
不可視のひかりを織りなす不変
白々と添えない模倣
空白をささやく赤色
色を失う夜明けと光度
陰影の萌すさいはて
こわれた心の交点
飽和して散り散りになる運命
プルシアンブルーのくじら
えいえんの可塑性について考える
やがて朽ちゆく楽園のさが
終わらぬ春の創世記
芽吹かぬ種中の化学反応
水底に沈む午後の書架
車窓に揺らめく雨色の月
あなたの呼気につづく花園
自由落下の恋情についての考察
羊群の夢遊病者
誰にも知られずひっそりと青褪めていく
この終幕は置き去りのまま何もない
憧憬に結ばれし旋律
いつかの奇譚に忘れ去られていく
消えない傷をつつむ花片
亡者だけが欲するひとしずく
傷痕の残る運命には
不死だけが知る体温
ほんの数千年で収束していく一瞬
花に埋もれて死ぬ春の常夜
花茎を食む唇のいろ
引き攣れを包み込むひかり
赦しと罪状の落下速度
冷たい砂漠で惑う
えいえんを捧げる半夏生
樹氷の梢に いたましげに宿る静けさの暈
闇の中に沈殿する音の重なり
海ぞこのように青々と透き通る標本室
いまだ神の粘土をその身に宿したまま
ためらいがちに歩みをとめた青い春を振り返る
わたしの静脈には死への羨望が流れている
ブルービロード・コースト
転輪上のマリア
乾涸びた金魚みたいに哀らしく
こんなにさびしい箱庭なら地獄がよかった
終着駅に忘れてきた言の葉
すり減りながら生きている僕らのこと
わたしの銀河は六ペンスの輝き
上手に口にできない七つのおと
きっと真夏とはぐれてしまったんだね
虫食いだらけの尾を引く流星
薄氷だけを食べて息づく詩篇
インスタント・ノスタルジィ
錆びれた心根を紡ぐ
二重露光の夜を縫いとめる
越冬すれど芽吹かず
枯れおちた恋心を手向けようか
終わりを予感した箱庭の夏
貴方のまたたきの色を教えて
泣くときまで崇高さを失わないなんて可哀想
星屑を拾う匙は消えてしまったらしい
形而上に宿る瑕疵
水溶性の心の破片が溶けのこる
鮮血の弾丸で撃ち抜いて
芥蒂は塵となりて
夜明けの名残りの腑分け
セピア色の明晰夢が実る
縺れて縋って独りきり
胡桃の殻みたいに硬い音を奏でるね
あなたに凭れて午睡に浸りたい
ソーダフロートひと掬いだけの甘さ
ここはあなたの選んだ断頭台
腐り落ちてもなお枯れて 誰にも悟られず燃え尽きていく
天使が落とした琥珀糖が流れ星なのね
あなたの言葉の輪郭に触れたい
踏みつけてもなお固く閉ざされて
翠雨に濡れし徒花のぐずついた眼差し
あなたがぼんやりしている合間に枯れてしまったよ
こんがり黄金色の虚栄心
万華鏡の向こう側の世界は逆さまか
三日も止まない五月雨と残留思念
濡れそぼつ墓標にハイドランジア
やさしさの原材料
夜の縫い目にそっと星屑を忍ばせる
花実も宿らない幾つかの過ち
夜と朝の隔壁に耳を澄ます
神さまも午睡の時間
虔しい瞬きの隙間
いびつな運命論を弄さないで
君の水晶体が最もうつくしい
口にする度色褪せていくもの
瞼の裏の暗やみ
午前三時、汽笛が鳴る
天使の輪が蛍光灯なんて知らなかった
あなたの腕の引力
夢の跡がまなじりに残る
彼の岸で鐘の音は鳴るか
いつか君の声を思い出せなくその日まで
死滅回遊魚みたいに晩夏を生きたかった
一週間で消えてしまう引っかき傷なら
息継ぎが一等下手くそなんだね
冷たい指先を握らせて
偶像を後生大事に抱えてしまう人
人でなしなんて詰れたら良かったのにね
君の体温と同じ温度を探している
割れ物みたいに触れなくたって壊れないのに
孤独のない国では皆んな孤独
青の縁どりで蠱惑が色づく
季節がひと巡りするまで擦れないで
整うまで崩していて
灰色の空の続く先にあなたがいる
きっと戒めを忘れた人だから
心臓の滲む音を聴きとって
聖者に口なし
無貌のセレナーデ
なまくらな幸せを消費していくだけ
ぼくの中で泡になっていった紫水晶の言葉たち
置き去りにされた地獄より
ダンボール一箱分の幻想
崩れ去る明日をただ見ていた
何も生まれない楽園
最果てより汝を呼べり
冴えかかる銅鉄色の光で手袋を編む
あの河川敷で食べたポトフほど美味しいものを知らない
すみっこで起こるアポトーシス
消せないペンで名前を書いておいてね
傷づく太陽/稚拙な月
ためらいがちな救い
ささやかな創世
さんざめく虚像
稚拙なさよならが痛々しかった
寒さを理由にしても良いのなら
いびつな脈拍を手にとって
ひび入りの幸せをまだ捨てないで
独りよがりの虚構、犯行声明文
エントロピーの増大に任せてぐちゃぐちゃになっていく
永久凍土に閉ざされた夢
願い事の重さに耐えかねた星
無痛の苦しみを教えてあげる
排水溝に消えていったノイズたち
お伽噺よりロマンチックにエンディング
累月、白と翡翠のミルフィーユ
僕の恋は輝度マイナス120カンデラ
あなたがあなたでない世界
君の傷口に爪をたてる
腐敗臭の漂うこの恋に
神さまが留守の間に
有刺鉄線の向こうから差し出された手のひら
君への呪いを白い皿の上へ
優しい世界の絵空事
寂しさを全ての理由にしてしまいたいよ
奈落の底で孤独を分け合っている
そうして全てが黒になる
シナリオ通りなんてつまらないわ
月光の届かない深さまで
天使の輪を落としてきた
さよならは殊更ゆっくり言ってね
今は砂まみれの翼で飛びたい
君なしのロマンス・ストーリー
いずれ腐り落ちる花の盛り
銀貨六枚分の幸福
瞬きよりも早く落涙より遅く
40デニールくらいの強さの繋がり
逆さまの空をカラフルな傘が覆ってしまうよ
目を閉じているから手を引いて
なりそこないばかりが集う街
月になれないなら星のようなものになりたい
何もかも遅すぎた夜明けが来る
存分に狂っていこうぜ
死者の国が見つからない
錆びたカトラリーで掬う冷めた安らぎ
カラスの群がる肉塊に成り果てたくはない
揺りかごから墓場までが遠すぎる
猫の額で構わないから関心が欲しい
明滅するはミラーボールの心臓
かがり縫いで幸せを縫いつないで
君の言葉は難しすぎる、必要なたった二文字も言えないくせにね
歯形つきの言葉
雪でさえ腐敗を止められない
霜焼けみたいに貴方を蝕む痛みになりたい
夜と昼の哲学
皮下にひそむ悪意
春の海には海豚の祈りが満ちている
こんなに美しい青なのに
ここには黒い屍も白い墓もない
曇天に呪うあなたの不幸
死の揺りかごは天蓋つきらしい
寂しい嘘しかつけないひと
此処ではない何処かのこと
せめてもの子守唄が夜更けをやさしく包むとき
焦土にぽつり立ちすくむ水銀灯
古びた時計の滲んだ文字盤
絶望は少しだけ微笑みを浮かべている
二色刷りの運命論に驟雨が降りそそぐ
あなたの言葉に心震えなくなった感傷
冴えかかる月は上白糖でできている
まるでドーナツの穴みたいに
あなたの懺悔と後悔で生まれた黒い海
がらんどうの花瓶を人差し指で弾く
言葉が形になって降り立つかわたれ時
幸福の定義を唱える祝福
北斗七星のひしゃくで掬う青い心臓
ほろほろと煮崩れた忘れ形見
さざ波で作ったタフタのドレス
瓶の底に残った幸福を救えずにいる
どうか終わりをわたしに魅せてね
琥珀糖ひと欠片分の安寧
あなたの孤独を半分こにしてあげる
氷の炎をやどす人
言葉にならない感情を君は知っているか
あなたの選んだ奈落に着いていく
見慣れた筆跡を指先でなぞる
手のひらで粉々になった蝶みたいに
貴方のための罪と罰
僕が神さまになったらクリーム色の綿あめを空に浮かべるよ
あなたのディテールを瞼の下に閉じ込める
いつか優しくしてくれたらそれでいいよ
カフェオレに溶かしたちょっぴり苦い思い出
鈍色の牙を研いで待っている
花曇りの午後、あなたの眠たげな声
優しさの凍る国でそれでも慈しみたいと
崇高とか名声とかそういうもの全部置いていきたいよ
対岸の火があなたの瞳にやさしく揺らいでいたこと
此処に置いていきたいものは全て食べてしまった
君の左目に宿った光が木洩れ日の中で揺れていた
僕の秘密は一番星だけが知っている
錆びついた空色をひたむきに彩った
カラシナのように眠ったまま起こさないでね
無痛のディストピア
今際の春
泡沫的終末論に悪態をつく
幼気を殺し画一を得る
縫合痕に落涙
混成的エゴイズムの具現
遍在/偏在的レゾンデートル
試験的彼女の取扱説明書
忘れじのディストピア
変わらぬ日々を日常と言う
軋轢に目をつむって毒を撃て
君の輪郭を眼裏に閉じ込めたい
陰雨に濡れる侮蔑の眼
累卵なる午前三時、街角にて
余蘊なく喰らい尽く
君の濁りなき虹彩に熱情を宿したい
慈愛を睨めて共存を奪え
けぶる煙雨に踪跡を濁す
君の猜疑に黙殺される
汝、甘言を忘るべからず
罪跡に白百合
炎天に倦む
灼熱は与奪を許さない
残痕に爪を立てる
弾痕にくちづけ
蝟集を散らし路地裏を駆ける
爾後、死んだように生きてきました
なびく星を射殺する
死体なら理不尽を享受せよ
双頭を担う
内股に噛み痕
無味乾燥の旬日を喰らう
玩弄者は黎明に遊ぶ
諦念と遊び退屈と踊る
幽天に昇る
食傷気味の倦厭家
ワインレッドの絶望を観ぜ
鮮烈の花色を抱け
晩秋、死におくれのレクイエム
皓皓たる月が茜を殺す
群青に溺れる
純潔なる狂気
不浄なる呵責
自嘲に深紅を差す
今暁の別れ
加点式愛玩定法
驟雨にかすむ有明の月
甘美なる獣欲を殺せ
払暁を呑む
吟詠する星屑たち
臙脂のマフラーを捨てられない
唐紅、純情に燃ゆ
偶発的密会のススメ
東雲に沖天する
秋陽の散る日
白く夕月のかかりたる
成層圏を夢見る羊は艱難を舐める
ジョン・ドゥは逍遥する
ベッドの下の私の怪物
水葬に帰すアストランティア
なぞなぞの残骸と悪夢を見る
牙を抜かれた遊星を胸の裡に飼っている
Cold Blooded
胸に抱くエルドラド
累加する子供じみた偏愛
エメラルドの瞳の魔物
心臓ひとつを分け合って生きてきたのね
冷たい唇に羨望の眼差しを
熱の箱
嗜虐の心得
虚飾の揺り籠
アクアマリンの憂い
上弦の蜜/上限の密
やっぱり触れたい、と彼は言った
紅の雫
夢見心地なアプリコーゼ
明日を忘れたアラベスク
加速度的恋愛落下速度
仮想的密室殺人
喝采に一礼
渇望のデストルドー
蹴っ飛ばせよ情動のカスケード
オルタナティブ・シュプレヒコール
罪責感が口づける
飽食ぎみの晩餐
陽炎を食む
俺も来世で踊りたい
緩慢な五月雨
ためらう人差し指
薄明に溶ける
ミラーボールの心室
お前に優しく手折られたい
人の献身に胡座をかくな
色褪せない感情を教えてくれ
背中合わせの感傷を知る
カーテンコールは終わらない
愚直なあなたに愛されたい
今夜限りで他人になる
獣のような眼で見るな
一線を超えた先にお前がいる
このまま貴方だけを奪い去りたい
黒いネクタイは息が詰まる
愛する人の還る場所になりたい
ひと欠片でも重なる感情はあるか
不器用ながらに愛したかった
身代わりにでも使ってくれ
殴り愛でマウントをとれ
惚れたが負けとは言うけれど
あなたの血肉になる
耳障りな声で嗤って
シュレディンガーの恋心
寂しいこども
見えない楔
不釣り合いな感情
夜の匂い
迎えにおいで
38度の記憶
真白い墓
噛みたい指
味気ない朝食
甘ったれたラブソングでも歌ってろ
戯言アレルギー
無益な妄想
できない約束
不完全な鼓動
隣で星を数えたい
キメラの恋
ロクデナシ2匹
柔い眼
愚者の愛
さよならは言わない
蜃気楼を踏む
憂鬱な食卓
子猫の眼
心臓を止めたい
皮肉屋の末路
空を泳ぐ魚
冷たい微笑
道化になって踊りたい
聴こえぬ心音
遮断機を降ろす
鱗粉を拭う
骨のダイヤモンド
終演そして開幕
置き去りの純情
飛んで火に入る
寂寥感が牙を剥く
鼻梁をなぞる
背骨をたどる
不格好な一人遊び
恋情を摘み取る
堕落と献身
消えない轍
馬鹿な男
汗ばむ薬指
黄昏に染まる
甘やかな過ち
自虐家と常套句
ガラスの心臓
累卵の縁
美しい共犯者
機械仕掛けの鼓動