第一話

第二話

第三話

浴槽を退廃で満たす

少年Aの恋

潜在めいて半端に隠された君の虚言そらごとも、全部ぜんぶ、ああ、騙された

トルストイもシェークスピアも私の憂鬱を取り去ってはくれない

逃げるのも才能だとあなたにこそ認めてほしかった

下水を泳ぐダイヤのピアス

瞳に映った退屈の情

青い果実のまま腐りゆく

鬱屈した心情を君のせいにさせて欲しい

水のやりすぎで枯れてしまったサボテン

「あなたは反対側に綺麗にねじ曲がっているのよ」

君の声が頭の中にこだまして、

僕はいく度も振り向きたい衝動を殺してやらねばならなかった。

そんな、ある晩夏ののこと。

自己愛の塊

妄幻症の憂鬱な朝

鉄葉ブリキの心臓

愛を乞うキッチン

陳腐な言葉を焼き直して与える仕事

心臓のケロイドに爪を立てる

扁桃体のゆっくりと圧死していくような

燐寸三本分の憐憫を

いたづく自尊心にセロファンで蓋する

幼気いたいけな瞳を裏切る

クロユリの花でできたこの二重のらせんをゆっくりと手繰っていき、僕は、今日もなんの接点もない呪縛に渇きをいだく。

いつまでも消えない衝迫が、繰り返し繰り返しやって来ては僕の思考を上塗りしていく。

積み上げた積み木を爪先で弾いて壊すお遊戯あそび。(そんなんじゃない。)

倦怠立ちめるワンルームに充ちているのは、息の詰まるような憂鬱と少しの哀れみ。

ばらばらになった扇情

奪い奪われて愛憎子午線

愚かな私の無駄な足掻き

自分可愛さに軋轢に目をつむった

ポップソングの焼き直し

自惚れだけで生きてきた2✕年

画一的不一致により

美徳で飯は食えない

まるで健康体のくせして何も成せないダメ人間

マリオネットに成り損なった私の生き様についての考察

予防線を張りすぎて、どれが本当の感情なのかよく分からない。傷ついているのか、それとも「普通の人間はこう感じるはず」をなぞっているだけなのか。

無菌室生まれのわたしの自尊心が研究者たちによって外界に連れていかれ、瞬く間に灰になった日のこと。

白痴めいた君の笑み、僕は期待外れな心の隙間に蓋をして浴槽から水を汲んだ。

愛すれば愛されると信じ切っているその単純さ、おめでたい事ですね。

自己愛の塊

[theme]尖っている
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虚言そらごと:本当ではない言葉

画一的:何もかも一様で、個性や特徴のないさま