そこはかとなく薄昏いパレット (1)

環指を噛む

一縷

繰り返し

ざらざらの

あの瞳の綴じ方

無涯むがい

かじかむ

あどけない

白皙はくせき内傷ないしょう

溶けのこる

みだらな

煮崩れそうな

幼稚な靴擦れ

裸足のうら

おもたげな

白昼夢

萎れる花床かしょう

残り香

凍えたまま

横たわる

片羽かたは什器じゅうき

青褪めて

ねむたげな

虹彩

一滴との隔絶

砂まみれ

欠落

三分間

まち針と恣意

一錠分

切っ先

錆びるぬくもり

藍青らんせい

踏む

うつくしさ

数えない焦熱

いだ

夜光虫

不揃いな

引鉄ひきてつを溶かす

怜悧

やわい

どうしようもなく

色素の標本

白地図

枯れおちた

くすんでいく

微睡みの切れ端

満ち欠け

あやふやな

凍てつく

まだらな心音

ろくでなし

錆びれた

喘ぐ

灰色の蛹

裂傷

飼い慣らす

欠けゆく

稚拙な刃こぼ

鼓動

たゆたう

ばらばらの

正論を結ぶ

縫いとめる

奈落

名もなき

えいえんに不在

透きとおる

泥濘

つめたい

一握の醜い芥

歯形

ほつれる

まみれた

零れたミルク

刹那

まぶしい

かし

凶暴なまばたき

波打ち際

不透明

ふぞろいな

どしゃぶりの聲

血潮

またたき

変容する

影踏みと青

引き攣れ

でたらめ

紛れもない

たましいの系譜

なまぬるい

代償

探している

無涯(むがい):果てしのないこと

什器(じゅうき):日常生活用の器具

恣意:思いついたままの考え