潮が満ちるたび蛋白石をひとつ落とした

白くかわいた骨のかけら一つ残ればいい

あなたへの嫌悪も臓腑に刻んでしまった

君には摩耗と呼べるかたちがふさわしい

潮が満ちるたび蛋白石をひとつ落とした

夜も朝も鈍色に透きとおる移ろいの兆し

ひと粒の季節も忘れてしまえば最低だけ

とけおちる頽廃たいはいの浴槽にて鱗をほどいた

ふりつもる行間にみずから沈めたいとき

つめたい中指に秘めた心の裏側をひとつ

彩度ある灰白色の燃え殻をえりわける指

交ざりあう瑕疵かしの綴り方しかわからない

夜半よわを裂いてとけてなくなりますように

しらじらした三日月をつま先で転がした

薄っぺらい夢と朝のむすび目がたなびく

潮が満ちるたび蛋白石をひとつ落とした

蛋白石:オパール

瑕疵(かし):傷