移ったルージュにあなたの味が犯される

煮えたぎる悪意を臓腑に刻んでワルツを一曲

移ったルージュにあなたの味が犯される

聖母さまの胎に宿るは赤黒き柘榴の実

被視配的マゾヒズム

寝苦しい夜をくるむシーツ

目ざわりな祝杯と踝を濡らす水

君の左目に映す猜疑心でさえ甘やか

あなたの肋骨のかけらが一番うつくしい形

瞳に嵌め込んだ瑪瑙は何も映さない

汚濁に凭れて沸き立つ血の巡り

薄汚れた獣性で満ち足りた

非懐疑的サディズム

柩を満たす赤椿の首からは憎悪が香る

甘い血も渇き切ってしまってお終いの嘘

あなたの眼差しの温度を紡いではいけない