花隠れの奈落であなたの柩を満たそう

灰をかぶって輝度を刻め白日のもと

あなたの指に六等星をさずけよう

怪物を偽称するのはまだはやい

なまぬるき仮死に耳を傾けた

やわい花床で傷つけられる

ここらで傾き微塵みじんになる

落日のゆくてを彷徨う蠍

佳日を焼く殉教者たちよ

幻月のつま先に火を燃やす

肋骨の脂とともに膨らまない

盗んだ六ペンスで月にトリップ

澄み切ったまなこに獣の牙を飼う

手向け花よ肺に映って紗幕しゃまくを満たす

風の異称をたずさえ頰辺ほおべには海ならず

落日のゆくてを彷徨う蠍

紗幕(しゃまく):薄い絹の幕