かぐわしき夜間飛行

気まぐれな心や臓の脈

星の海で灰になるがいい

波うつ更紗とおそろいの冬

名無しめいていとけなき六月

真火をいだけ、つまさきを燃やせ

黙して喰らうひばなにも似た春雷

胎動にくずおれる不毛をなぞる

眠たげなくちづけで果てる嘘

滲むまぶたといつかの氷雨

透徹のヘルツを証明せよ

花のように燃ゆる地獄

残ったのは淡い芥蒂かいたい

透徹のヘルツを証明せよ

芥蒂(かいたい):僅かな心の蟠り