紐解く獣の綴りかたも忘れてしまう

未読のまま腐っていく星食いの火

ここは粉々のまま散らばる花嵐

目まぐるしいシグナルの果て

苛烈で指さきを焦がすひと

洛陽の暮れゆく火の傍で

青をいだくあなたの五指

かなしいにおいのまろぶ浴槽

しじまを喰らう鱗の色

こんな名前じゃ還れない

はじまりの楽園にかけた橋

なまくらなナイフつつむ温度

桃いろの逆鱗をかくす手のひら

宙を游ぐままに眩いハレーション

うつくしき花冷えの朝に行方知らず

かなしいにおいの転ぶ浴槽

かけた:欠けた/架けた