朽ちていく細胞の翠

逆行の境界線

遠雷の明滅と横顔

水星のくちづけの温度

浴槽には神話がみちている

碧い瞳の炎

埃まみれの楽園

縷々たる星たちの轍

燦然たる雨降りの土曜日

剥がれかけた沈黙をさらって

オフィリアの踵は無垢さを知らない

いくつもの致命傷から芽吹く

銀河のまたたきをひと匙

朽ちていく細胞のすい

劇毒で満たして

仮面の葬列

流星の鯨が眠っているあいだ

君のいた霧の街から還れば

雨がやんだら祈らない

沈む詩篇と羅針盤

ひかりの迷宮

朽ちていく細胞の翠