古代生物の泳ぐ空を私たちは見上げていた

火溜まりにゆくための素足

26時の鐘が鳴るまで帰りたくない

今際の邦で四肢を呪われた

白々した観念を前頭葉に飼っている

寄りそえない脊椎で火ばかり腐っていく

海鳴りは僕の手首の脈に続いている

羊水に溺れるような陶酔を

26時のダイアルをまわして

萎びた愛の顕在にそっと蓋を

欠陥だらけな Exit コードの軋む音がする

嗚呼 なんて幸せな驕慢！

私の翅に燃え移った焔を見てあなたは綺麗と言った

五月、無垢の残像が君の向こうで揺らめいた

きんと響くいのちの漿液

サマーサマー・ナイーヴ

僕の頸椎には梔子の種が埋まっている

夏の靴音が舌を焦がす

きっとわたし、蠍のように百ぺん身を焼けはしないな

ビスケットでちょっとかさついた声であなたが言った

ある朝床に貼りついていた私の熱帯魚

等加速度的落下の終末に無彩色の夢を見る

下水を泳ぐダイヤのピアス

君のなかで真実に昇華されていった抜け殻たち

神の粘土を宿したわたしの体躯

夜明けの赤らみさした頬

傷づく亀裂の心

ジャングルジムの頂に君臨していた頃

情動的カスケード