淑やかなる世迷言

淑やかなる世迷言

嗚呼 なんて幸せな驕慢きょうまん

徒花あだばなに宿りし一滴の白露はくろ

僕の視界で明滅する悋気りんきの情

先生、何故だか前が見えません

あなたのピエロに成り下がりたい

おぼつかない清純さを切り売りしている

機能不全の愛を抱えて途方に暮れている

踊る馬鹿になれたらどんなに良かったか

移り気な神の采配には見せ掛けの恭順を

私の躯はメラメラと火を噴いて灰になった

今日もまた140字の散文に鬱憤を綴っている

あなたを苛む災いの種をきっと来世で摘み取るの

半径0.5メートルの貴方のバリアにさえ触れられない

なんだか他人ごとに思えないんだよって言ったのにね

あなたがかいなに聖域を抱くならあたしそれを喰らいに行くわ

あなたの吐いた煙だけを吸ってゆるやかに死んでいきたい

煤にまみれた衝迫は、耳閉感に軋む葛藤はいったい誰のせい

コインランドリーでまわる服と洗濯水を眺めているときに突然僕の肩を叩く孤独感

他人の好意をライターで灰に変えるような人間は、きっとろくな死に方はしないだろう

淑やかなる世迷言

世迷言(よまいごと):わけのわからない愚痴や不平

驕慢(きょうまん):おごりたかぶること

徒花(あだばな):咲いても身を結ばない花

白露(はくろ):秋、草木の葉に秋の到来を告げる白露が宿る

悋気(りんき):嫉妬