26時のダイアルをまわして

「なにもかも錆れたお伽噺」

ネオンの羊とプレリュード

ピンクのくじらとラプソディー

凍りのきりんとセレナーデ

「26時のダイアルをまわして」

あなたの名前ひとつ棄てられないなんて

ゆるやかな体温を閉じ込めた

うつ伏せで踊らない真夜中

「最涯てに凭れたまま遊戯」

皓々とよふかしの月と星

音のない夜を穿つ鐘の音

さえない真白と隠しごと

「舌の上で持てあます音」

星がなくてもこの街の夜は生きている

プラスチックの感傷を盗まれた

みちづれには虚しすぎる魔法

「ライムソーダと花明かり」

あの夏の残像と落し物

靴の踵でにじむ残光

可惜夜のささめきごと

「あなたの砂漠を隠さないで」

日曜日と花切り鋏

狭間に宿る白昼夢

二人称のざわめき

「ワンタイム・イリュージョン」

僕抜きで八月が終わる

白いカーテンと絆創膏

午後15時5分の青い春

「うなじに這わすヴィナスの眼差し」

今際の森で行方知れず

星と夢に擬態する

麗らかな心中日和

26時のダイアルをまわして

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