3:50 AM
01
夜の狭間に不時着する
耳をくすぐる刹那の現世
02
黎明は無色透明の匂いを放つ
あなたの輪郭が淡くなる時間
ボサノヴァに微睡む休日の朝
ためらいがちに骨灰を掬う指
03
永遠の眠りを息吹に閉じ込めて
揺蕩う夢はどこへと消えていく
トロイメライ指先からこぼれて
3:50 AM
04
白々した観念を前頭葉に飼っている
夜明けのヴェールに淡紫を滲ませて
闇の被膜をゆっくり捲っていく
陽光の剥片をそっと拾い上げる
05
ほどける輪郭とグロテスクのマリアージュ
プラスチックみたいな陶酔を瞼にそっと隠す
06
あなたの指先は欠けた「何か」を閉じ込める
刻んだ轍は消せず、吼える蒼は土に還るのだ
07
土にまみれた褪色を抱き、がなる紅を殺すのだ
夜明けの海さえ見られれば何か変わると思ったんだ
08
あなたその時、ひとさじのシナモンがくるくる溶けていくのをじっと見ていたのよ