胸には仮初めの孤独を飼っている

醜さになり損なった劣等の変種

雨がやんだら浴槽も埃まみれ

永い朝と消えない愛の明滅

宵明けのくちどけを弄ぶ

欠け落ちてまがいもの

薄ら氷の螺旋の先で

月も満ちないしらじら

人魚の髪と禁じられた唄

どこにでもある貴方の面影

血を流す声を囁きと呼べるか

うすくれないを映してほころぶ

仄白い便箋に垂らした青いインク

創世記

ゆびさき

縫いとめる

いびつな追憶

溺れる残留思念

ひび割れた靴擦れ

傷みやすい満ち欠け

背中の羽を燃やす

錆びる有刺鉄線

おわかれの日

閉じこめる

くるぶし

抒情詩

血を流す声を囁きと呼べるか